マーガレット近くに来て、やっと見知った者だと気付いた。
彼は変わった扇子を持っている。
よく一緒に遊び、彼については飄々爺だという印象があったので、こういう趣味が老人らしいなと思った。
取り敢えずいつも通りに明るく挨拶をしようかと、笑顔を作った。
──あ、こんにちは
そう言おうとした時の事。
マーガレットの背筋を形容しようも無い寒気が襲う。
マエストロの何時もと違う微妙な表情の変化だろうか。
微かに重心の置き方がおかしな立ち方だろうか。
それとも扇子の微妙な硬さだろうか。
どうにもマーガレットにはそれらが『偽物』に思えて仕方が無かったのだ。
