落ちる。
落ちる。
更に落ちる。
思考を手放す瞬間。
俺はようやく武器を置ける。
巨大な鉄を、剣の形にしている粗悪なモノ。
人の身体では振り回すことは難しい。
だから、俺には青い光の呪いがある。
この呪いが無ければ何も出来ない。
だから――
全てを漂白する女は世界の敵だった。
それにしても、俺に殺せるだろうか?
分からない。
仲間を失い、仲間の記憶を漂白された俺は、既に殺されているかもしれない――
今は止めよう。
眠りたい――
思考が白い闇に飲まれていく。
男がこの世界から消えた瞬間だった。
建物の影から音も無く現れたのは白浜梨露に良く似た人形。
魔具『漂白』は、ぎこちなく歩きながらその場から離れていった。
次を探している訳でもなく、ただ彷徨う様に。