「しこり」を含む小説

中央アメリカの緊迫した異国で、僕はスーツを着た悪魔のような父の冷酷な支配下にいた。 唯一の救いは、無償の愛を注いでくれた異国の家族と、魂の叫びを代弁するジョン・レノンの音楽だった…

都会の一室、埃と薔薇の香り、猫の背に宿る三粒のしこり。 彼女と過ごす怠惰で微熱めいた日々の中、私は確かめるように彼女の背、タマの背、薔薇の棘に指を触れ、渋い紅茶をすする。 欲望と…

あの夏の日に経験した年上の女性との戯れの記憶は、消え去ることなくしこりのように、僕に残り続けていく。

昔からなにかに熱中することがなかった雨夜和は、中学になって、まるで実体験したかのような夢をみることが多くなった。 しこりはあったが、ただの夢だろう。と雨夜は自分に言い聞かせてい…

「一緒にやりませんか？」 鬱々と公園のベンチに座っていると、少年から声をかけられた私は社会人である。 適当に少年をあしらうが、その心にはしこりが残っていた。

息子が親知らずを抜く事になった。一旦は、無事に終わったと思ったけれど、数週間後にまた腫れてきて、シコリの様な物が出来ていた。もしかしたら、腫瘍？ 息子のほっぺを気にしながら過ご…

中学生の夏。 突如として消えた少女は、私の中に小さなしこりを残していった。 そのしこりを取り除く為に、彼女を探し続けた私にもたらされたタイムスリップという転機。 時期は、少女が消…

※以下、結末までを含んだあらすじです。 魔王を討伐した勇者ジゼル、二十八歳。 今後の身の振り方を考えていたとき、幼なじみで辺境伯のアーサーから求婚を受けたことで、十五年ぶりに帰…

いつも拙作お読みいただきありがとうございます。 こちら志堂シリーズ最新作になります。 一鷹と昴に喧嘩売って返り討ちにあった深見さん家の元お嬢さんのお話です。 単体でもお楽しみいた…

何者にもなれないと言うことに劣等感を覚え、心にしこりを持つ藤次郎は、自由に花を咲かせられるという不思議な女性と出会う。 チャリティーオムニバス「梅結び」収録作品 https:/…

【1DAYシリーズ33作目】 婚約した日に過去のしこりも解消できると思った主人公は、仲違いしていた友人を訪れた。　だが呼び出されたのにも関わらずどこかおかしい。　友人はすっ…

【あらすじ】 　坂本明人（さかもとあきと）は人の心が読める特殊能力を持っていた。その能力を使い、日本へと越してきたイギリス人の少女へと言葉を教えることになる。少女の名はエミリア。…

何百年と弟子を続け恋心を抑え続けていたニエは晴れて師であるランゲルハンスと結ばれた。 蜜月を過ごすも彼女の心は決して晴れやかではなかった。 求婚の際に宣告された「破門」がしこりに…

——君は行ってしまったけど、もう昨日の事でくよくよしない。普通の世界というものがあるならなんとかそれを見つけ出すんだ。その過程で僕は生き延びる術を見つけるのだろう—— 磯村恭…

2003年に書いた古い物ですが、お目汚しに。少年の心情やラストを楽しんで頂けると嬉しいです。まぁ、書いた本人がほぼ話を忘れているんですがw。

少年は完全に生きる理由を喪っていた。 ある日、少年のもとに人のような形をした喋る木のような生き物がやって来る。 この木はなんやかんや少年についてくるが・・・

同題異話　七月号「コップの中の漣」参加作品です。 ある女性の旅立ちを切り取ったお話です。 こんな経験をしたことのある方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。 あなたの心の中のし…

　大好きだった祖母の臨終の折に顔を見せなかった叔母に憤慨し、罵倒して追い払った幸恵。その時の自分の行為を反省しつつも、意地を張りつつ謝罪もせずに二十数年。ようやく謝罪と和解を経て…

二人の男女(主人公)たちのちょっと不思議な日々。幽霊が見えてしまう体質、晴樹(主人公)が色々な思い、願い、後悔を抱いている人間、幽霊と巡り合いその想いを知らず知らずのうちに伝え心…