「短編ドラマ」を含む小説

ギャラリー併設カフェ『peinture』に客は来ない。 店主兼イラストレーターの陽子は、この店にも自分にもうんざりしていた。 もう店を潰そうと思い至ったある日、陽子の店を輝く瞳で…

冷え切った家庭で育った宮森藍は生家を出た後、様々な人間の中を渡り歩く。けれど彼女が関わるのは碌でもない人間ばかりだった。 孤独とやるせなさを抱えて彷徨う彼女は、泥沼の中から這い上…

【男は、「ありがとうございました。助かりました」そう言いながら、ゆっくりと車を降りつつ、「ああ、今度は助からないといいなあ」明らかに俺に聞こえるようにそう言い残して、駅のほうへと…

書置きを残して家を出た同居人の友人を追って、私はある村を訪れたことがあった。 その妙な懐かしさと異様さを孕んだ空間は紛うことなき現実で、向けられた視線と不安定で今にも崩れそうな言…

一週間前に幼馴染の鵜久森蕭に告白されて恋人となった“僕”は、未だ告白された理由がわからず悩んでいた。放課後、彼女と一緒に帰るところ、二人は何かを探す人影を見つける。

キリスト教に疑問を持ち始めたプロテスタントのみなみと、キリスト教に興味を持ち始める無宗教者のタダノブ。二人の悩みがそれぞれの決断に行き着くまでを綴りました。

静かな病室に響くかすかな咳音。 少しずつ熱を帯びる手を握りしめ、少年は彼の最期の時間を見つめる。 「君と過ごした時間が、どんなに幸せだったか」 交わされたささやかな言葉の中に、言…

捨て猫「ねこにゃ」は、同じく捨て猫である「にゃんこにゃ」と出会う。 飼い猫のときには、感じたことのなかった空腹、寒さの中、二匹の猫は、真の幸せと出会うべく冒険する。 二匹の猫の深…

事実も半分。

あ、か、ねと言う　美人な女性に　いきなり手を組まれ　ホテルへ　　一億もの金をどうして？　淡い恋愛もあり　ミステリーもありの短編小説

　東都知事選挙は接戦のまま、最終日を迎えた。 大神、法蓮、丸石は、小石川現職知事の絶対有利に疑念すら感じていない筈だった。 　東都民一千万人の有権者が立ち上がる。 空前絶後の投票…

■あらすじ 時は近未来の日本。武器輸出と凶悪犯罪対応のための民間警備会社の武装化を認める改正銃刀法の審議が国会にて行われた。衆議院で可決され、野党勢力の強い参議院に送られたが、こ…

憔悴した少年の前に現れたのは一匹の白い子猫。 雨の中での二匹の野良猫の話。

旧題「賽銭泥棒」 「沢山の人を笑顔にしたい」コメディアンになる夢を抱いて上京した、一人の青年の話。 東京の人口の45％は地方から上京した人だそうです。 結構多い？思ったより少…

　十代最後の歳という割に、僕は色々と不足がちな自分を自覚していた。例えば誠実さの意味さえも、靴下の表裏がわからない子供みたいに履き違えてばかりだった。

一人の人間の或る独白。

似た境遇の人が沢山いる現代に、こんな物語があった。ではもし貴方がその登場人物のひとりで、声をかけられたなら、なんと返すのでしょうか

『【いいね！　きのうの雨で増水とかしてないかな？　気をつけて楽しんでね！】返事をすると、数分後にまたスマートフォンが音を立てる。【ありがとう！　大丈夫だよ！　そっちも仕事がんばっ…

婚約者のいる紗智は、ホテルのレストランで両家の顔合わせをする。 結婚賛成のはずの紗智の父は、突然、結婚を反対だと言い出した。 紗智が嘘だらけだということが、父にはバレてしまったよ…

”空”を軸に様々な立場の人々が懸命に生きる様を短編にまとめております。 老人、画家、就活生、主婦、教師……様々な立場の人々が少しずつ繋がりながら、それぞれの物語を紡ぎます。 短編…