「短編ドラマ」を含む小説

プロトタイプ作品集です。 見切り発車で書きながら、皆様のご意見を聞いていくスタイル。 物語の長さは、１作品に付き、3000〜20000文字程度を予定しています。 どの作品から読ん…

古燈書房で働く朝比奈にとって、古本の匂いも光に舞う埃も、今ではただの日常だった。 しかし、雨上がりの午後に訪れた子どもたちの声が、忘れていた原点を呼び覚ます。 ――静かな再生の物…

たった一人の友だちをなくし、失意の中に閉じ込められていた、ユウ。 決まった時間に決まった場所で、ラムネと魚肉ソーセージを手に、止まった日々を繰り返していた。 そんなある日、どこ…

中学二年生の相田嬉久は、盲目で何も見えない。夏休み前日の放課後どうなるか。

この街では、夜になるとひっそりと現れる一人のピエロがいる。 毎週決まった時間に街角でパフォーマンスをして、観客の心をそっと照らしているのだ。 そんな不思議なピエロにもまた、「悩…

色盲の画家・灰谷は、色のない世界を鋭い筆致で描き続けてきた。ある日、触れたものの色を奪う不思議な筆を手に入れ、彼の目に初めて「色」が宿る。だが、街から色が消え、人々の記憶も変わっ…

　両親を交通事故で亡くし、引っ越しを考えていた高校二年生の久野井花。昔から愛のない冷たい家族環境で育った花は、親戚一同にも「引き取り手が見つかったから」と嘘をつき、一人で生きてい…

翼を持たない少年・這丸(はいまる)は、空を飛ぶ仲間たちと共に鬼を討つ日々を送っていた。 地を這いながらも、誇りを持って里に尽くす彼は、ある日雛たちを守って深手を負い、気づくと鬼た…

それぞれの場所で、それぞれの荷物を運ぶ、それぞれの配達員の、それぞれの業。 ちなみに筆者はAmazon配達員です。キャッチコピーは、配送員としての心の叫びでもあります。

蜘蛛の糸に繋がれた一枚の葉に思いをのせた。 風に揺れるその葉がたどり着いた先にみたものは。

SNSで完璧な自分を演じる人気モデル「美咲」。 しかし、その裏で彼女は、誰にも見せない部屋で豪快にカップ麺をすする日々を送っていた。満たされない心を埋めるために、彼女が拾った一匹…

展示は“忘れないための装置”。——そう言った同級生に連れられて、週末は埴輪から鉄道、文学、川、印刷へ。展示室の静けさ、ラーメンの湯気、ページの余白。言葉にならない時間を並べていく…

　町はずれの小さな図書館。そこに彼女はいる。凛とした立ち姿、何事にも動じぬ面立ちと幽玄で隙の無い仕草。まさしく冬の精霊を思わせる彼女の名を《薄氷》といった。