中洲川篤志シリーズ最新作である本作は、彼が初任科生だった頃に警察学校内で発生した盗難事件を追っていく、まさに『警察官・中洲川篤志』の原点とも言えるお話です。
どんな職業でも同期というのは特別な繋がりです。警察官ともなれば、厳しい訓練や勉強、更には衣食住までをも共にする、深い繋がりになるでしょう。
ゆくゆくは市民の平和を守るという、重い職務を負う若者たち。
そんな警察学校の同期の間で、個人の私物が盗難されたら?
同期なのに。警察官なのに。ダブルで衝撃を受ける事件が起きてしまったわけです。
なくなったのは、立花さんという女性の私物の手帳。同期生の有志にて、手帳を探すチームが結成されます。
行動に制限のある中での地道な捜索や、仲間内の人間関係など、リアリティと緊迫感のある中でのストーリー展開は見どころの一つ。
一つ一つ手がかりを拾っていけば犯人を推理できるようになっているのも、このシリーズの醍醐味です。
細やかな心理を残らず掬い取るような筆致が見事。事の真相には、思わず唸らされました。
シリーズを追っている読者は、若かりし中洲川さんの姿にニヤリとしてしまうこと間違いなしでしょう。
この先の未来で難事件を解決する彼は、最初の『事件』をどのように追っていくのでしょうか。
もちろん、今作からでも問題なく楽しめる作りになっています。
いったい誰が、何のために手帳を盗んだのか。
そこにどんな心理が隠されているのか。
ぜひあなたの目で見届けてください!