予算ゼロという制約を笑いの種にしながら、同時にそれを現場の悲哀として機能させている。グンツが毎回繰り出すトラップは、摩擦係数、粉塵爆発、低温脆性、ガスの比重といった実在の物理・化学法則に忠実で、なるほどと唸らせる知的な快感がある。ファンタジーの文脈で正しい理科の授業を受けているような、珍しい感覚だ。
グンツが部下を絶対に傷つけないという原則を一切妥協しない点が、単なるコメディを超えた物語の重心を作っている。
クロエの自傷検証シーンで必死に止めようとする場面や、オークたちに謝罪して頭を下げる場面など、主人公の誠実さに好感がもてる。