四月の坂道、散り残った桜、そして古びた旧校舎。転校三度目の少年・和沙が出会ったのは、静かな目をした少女・桜森京子と、学校に漂う「説明されない違和感」でした。セロハンテープ、本棚、窓の隅の小さな印。ささやかな謎が少しずつ形を持ち始め、気づけばページをめくる手が止まりません。
静かで繊細な文章が魅力で、夕暮れの光や埃の匂いまで伝わってくるようです。キャラクターの距離感も絶妙で、ふとした会話にドキッとさせられます。ミステリーでありながら青春の甘さもあり、読後にじんわり余韻が残ります。
こんな方におすすめ
学園ミステリーが好きな方/静かな雰囲気の文章を味わいたい方/少しずつ謎に迫る推理を一緒に楽しみたい方
1987年という時代設定がまず効果的で、フロッピーディスクや司書の先生といった当時ならではのアイテムが、謎解きの手がかりとして自然に機能しているのが面白いところです。レビューでも「読みやすく表現も自然」と評されている通り、転校生という三竹の視点を通して読者も一緒に謎を追っていく感覚が心地よい作品でした。
「死んだ一年生」「長谷川良子の死」といった重い出来事を扱いながらも、桜森京子との掛け合いや個性的な部員たちのキャラクターがバランスを取っていて、幕間として挿入される短い視点の切り替えが、本筋の謎をより重層的に見せる工夫になっています。一つの真実が明かされるたびに新たな謎が生まれる構成のテンポも良く、通学のお供にぴったりという評にも納得です。
天涯孤独で何か訳がありそうな三竹自身の背景も気になる伏線として残されていて、全23話を読み終えた後に、もう一度頭から読み返したくなる丁寧な学園ミステリーだと思います。