前半と後半で雰囲気が大きく変わる作品です。
前半は、皇帝の死とその責任を問われた将軍ノアが、裁きを待ちながら蟄居する物語です。亡き主君への哀悼と忠誠が色濃く描かれていて、『亡き皇帝のためのパヴァーヌ』というタイトルにその重厚な空気がよく反映されています。
一方、後半は伯爵家の血を引くブランディーヌがノアの屋敷で暮らし始めたことで大きく動き出します。自我に目覚めた彼女が、恋愛に不器用で武骨なノアへ積極的に想いを寄せる姿は可愛らしく、宮廷恋愛ものが好きな読者は心を揺さぶられることでしょう。
文章は読みやすく、自然と物語に引き込まれます。また、敵役・セヴランの徹底した悪党ぶりは、そこまで阿漕か……と読みようによってはむしろ清々しいかも。
重厚なドラマと心温まる恋愛の両方を味わえる、お薦めの作品です。
また文末に次世代の掌編があるので、そちらもちょっとした楽しみになりますよ。
モルガド帝国の将軍ノアは、皇帝を守ることができなかったとして蟄居を命じられた。
一方、町娘のブランシュはセヴランという貴族の罠にかかり、望まぬ結婚をすることになった。誰も助けてはくれない。命からがら逃げだし、駆け込んだ先は……。
身分差の恋愛小説です。
厳罰を受ける覚悟を決めたノアと、心傷ついたブランシュが、互いに惹かれ合いながらも、それぞれの事情ゆえに思いを伝えられずにいる。その姿がじれったくて、それがまた良いのです。
この作品を読み始めた当初は、てっきり皇帝がブランシュの恋のお相手になるのだと思っていたので、将軍ノアだとわかった瞬間、「え、そっち?」と驚きました。けれど、読み進めていくうちに、ノアの優しさと誠実さに納得しました。
ブランシュも、最初こそ悪い男たちに騙されてしまったけれど、その後に見せる芯の強さは魅力的でした。
頬が緩むような恋の物語。とても良かったです。
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