SNSへの「月」の投稿がきっかけで知り合ったノボルと美月。やがて結ばれた二人の日々は幸せに満ちていた。けれど、美月の体にはひそやかに病の影が忍び寄っていた。最期の瞬間、美月の目に映ったのは夫ではなく、窓の外の月だった。美月の死後、ノボルのスマートフォンにメッセージが届く。それは、美月が生前に投稿予約をしていたものだった。物語全体を覆う静けさ。まるで月の輝く音まで聞こえてきそうなほどの夜。残された文字はノボルに何を語りかけるのか。切なく優しい、二人きりの月夜。
妻が亡くなった。今わの際、瞳に映っていたのは夫の顔ではなく輝く満月だった。月の観察を通じて知り合った。仲を深め、新月に婚約した。幸せな日常に病魔が忍び寄っていた。自らの死を悟っていた彼女は、未来に遺言を送った。妻は月となって夫を見守っている。その月明かりで、これからも慈しむだろう。
ノボルのもとに、入院中の妻が危篤だという連絡が入る。ようやくノボルが病室にたどり着くと、妻は満月を見つめて……。月をきっかけに出会った夫婦の、切なくも温かい物語。月はいつだって、空からこちらを見つめている。欠けていても、雲で見えなくても、いつだって。空を見上げてふと思い出す、そんな心に残る物語をどうぞ。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(106文字)
あなたは月にどんな印象を持ちますか?この物語に描かれる月は、太陽ほど力強くはなくとも、夜闇に惑う主人公を照らし導いてくれる――そんな儚くも優しい存在です。月が繋ぐ、希望と愛の物語。お勧めいたします。