「古地図」の謎から、日常を抜け出した冒険へ飛び込む夜少年と七巳、そして月読峠に住む人々が織りなす一つのまちの冒険譚。
作家・成田良悟さんの描いた「月読峠」から続いていった一つの結末の物語です。
登場キャラクターたちの個性豊かで、自由に動き回っているところが特に素敵でした。
序章の設定を細やかに盛り込んだ本作は、登場人物達が生き生きとしていて、それぞれの視点が複雑に絡み合って、一つの世界を生み出していました。一人ひとりに焦点が当たり、自然と登場人物たちにのめり込んで冒険してしまいます。
特に主役の二人――夜と七巳、年頃の少年少女の、ほんの少し距離があって、でももっと近づきたくなる曖昧で愛おしい距離感が絶妙でした。物語が進むにつれて、浮かび上がってくる二人の眩しいほど鮮烈な感情が非常に魅力的でした。
そのほか登場人物も、ほんの少しの台詞でもハッとするほど魅力的に描かれていて、誰からも目が離せませんでした。
様々な視点から語られる物語がやがて一つの物語へと導かれていき結末は、謎が解けたような納得感と爽快感で、誰一人欠けてはならない、多くの登場人物が織りなす素晴らしい群像劇でした。そして、少年少女が世界を変える心躍るボーイミーツガールでもありました。
中短編ですっきり読みやすいながら、とても濃厚な物語で、読後は文字数を確認してしまったほどでした。ぜひ多くの方に読んでもらいたい作品です。