11話 奪われる俺自身にも腹が立つ。


 11話 奪われる俺自身にも腹が立つ。


 ゴーレムの強さは、さっきの山賊3人よりもはるかに上。

 正式に強いモンスター。


 しかし、もちろん、相手にならない。

 コスモブラッドに至った神の王をナメてもらってはこまる。


「おいしょぉ!」


 ゴーレムのパワーを利用する合気でサクっと叩き潰していく。


「はぁ、はぁ……」


 そこで、センは、倒れているゴーレムに腰かけて、


「脆い心臓と肺だ……はぁ、はぁ……足も痛くなってきた……たいして走ってねぇのに。くそが……死ぬ気でアホみたいに鍛えまくった体を、いつも、簡単に奪いやがって……奪われる俺自身にも腹が立つ」


 文句を垂れながらも、必死に呼吸を整えようとする。


「どんだけ対応しても、毎回、簡単に盗まれるのはどういうことだ? 一応、神字で簒奪(さんだつ)系に対するアルゴリズム対策とか組んでんのに……毎回、容赦なく奪われる……もしかして、そういう呪いでもかかってんのか?」


 肺が小さいせいか、息を吸っても吸っても足りない感覚がある。

 この体の頼りなさに、いちいち苛立たされる。


 と、そんなことをしていると、頭の中で、一つの疑心暗鬼が駆け巡った。

 『センエースの助けを待っている配下たち』という絵面。

 盗賊の話を聞く限り、たぶん大丈夫だろう、とは思いつつ、もしもの可能性に突き動かされて、

 センは、


「くそが……」


 まだまだ休憩していたかったが、体にムチを打って走り出す。

 杞憂かもしれない。

 いや、杞憂であってほしい。


 そんなことを思いながら、センは、3歳児の肉体という重荷を全力で引きずっていく。


 ★


 その後もぽつぽつと湧いてくるモンスターを処理しながら、森の奥へ、そして出口へと進んでいく。


 ――森を抜けた瞬間、視界が一気に開けた。


 目の前には、ゆったりと流れる川。

 その上に架かる、石造りの古い橋。


 そして川の向こう、地平線を埋め尽くすようにして聳え立つ、巨大な城塞都市クイーンパレス。

 この世界の中心地。


 整然と区画された市街地を、高く分厚い外壁がぐるりと囲んでいる。

 壁の上には見張りの兵らしき人影が等間隔に配置され、川沿いには荷を積んだ馬車が列をなして行き交っていた。

 遠目にもわかるほど、道は整備されていて、人の流れに滞りがない。

 橋を渡る商人らしき一団も、検問の兵に慣れた様子で書類を渡し、あっさりと通過していく。

 少なくとも、この距離から見る限り、混乱や荒廃の気配はどこにもない。


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