この作品を最初に目にしたとき、内容に入る前に「美しい」と感じました。その感覚は、おそらく漢字と仮名の配分や、余白の取り方によるものだと思います。見慣れない漢字を見たとき文字を追うスピードが緩む感じがとても好きです。ストーリーも見落としがちな感情をしっかり拾っていて楽しめます。
「終末」という巨大な運命を、あえて広場の怒鳴り声や書類の書き直しといった「生活の地続き」として描く筆致に、圧倒的なリアリティを感じます。案内板に掲げられたこの軽薄な標語が、物語の終盤でマディソンの「続く町を探す」という決意と重なることで、皮肉から希望へと反転する構成が見事です。終わらせるための事務作業の中で、ただ一人「その先」を見ている彼女の異質さが際立っています。