本作は、特撮の「ヤラレ役」に誇りを持つ男『守山』が、亡国の皇女を“真のヒーロー”へと仕立て上げる異色のファンタジー作品。
特筆すべきは、主人公の「見せ方」に対する執念です。攻撃を受ける側だからこそ成立する“魅せる動き”、視線誘導、立ち位置――ヒーローを輝かせるための裏方の技術が、物語そのものの構造として組み込まれています。
この視点が、本作を唯一無二の読後感へと押し上げてくれる。
加えて、作者様の五感に訴える描写も秀逸であり、肉を打つ衝撃や風圧、異臭までも描かれる戦闘シーンは必見です。
「ヒーローは人の目線を上げさせるものだ」という哲学のもと、敗者として生きてきた男が、少女に“歓声の舞台”を用意するという熱い展開。
主役になれなかった者が誰かを主役にする――その在り方こそが真にヒーローであり、本作最大の魅力と言えるでしょう。
主役になれなかったと考える大人たちに、一度は読んでいただきたい一作。