「俺」の工場には、AB型のばかりが献血で集まっている。献血バスの看護婦から嘆きが聞こえる――B型とO型が不足しているのだ。
しかし、主人公はAB型。それでも彼は、献血を続ける。
「年に3回くらい、献血する 」。18歳の時に自分で決めたルールがあるためだった。八十数回はした注射針の跡が残る。
「十分だ」と思われながらも、この行為が役に立っていると信じて、道を行く。その行為はとても清々しい。これこそが人と人のつながりの極小単位なのではないかと一読して私は実感した。
求められているから行くのではなく、自らゆく。それは愛と勇気をともなう尊い行為である。