まず、校歌が本編より面白いの、ずるい。
男らしさを求めることは間違いか、というド直球のテーマを、ここまでふざけた器に入れて成立させてるのがすごい。岩を持ち上げる入試、ボンタン狩り、トゲトゲブルドッグ。全部バカなのに、全部ちゃんと物語の骨格を支えている。
穹人のキャラが絶妙。「可愛い」がコンプレックスで男らしくなりたいのに、周囲がそれを許さない。この構造だけで無限に話が回る。しかも武山にもタナカにも夢見にも茜にも、それぞれ別の理由で穹人が必要とされている。全員の動機が違うから、同じ主人公を巡っていても飽きない。
タナカさんの造形が特に良い。蚊取り線香、ちい散歩ごっこ、泥棒柄の弁当袋、思い出し笑いの無表情。変人なのに芯がある。「恋愛ってよく分からない。ちょっと怖い」と言ってからの「貴方にね、キュート君」で読者を持っていく力がある。
夢見の裏の顔が出てきてから一気にギアが変わる。「瑠美がいちばん可愛いの。みんな引き立て役」のあの台詞で、ただのラブコメがサスペンスの色を帯びる。茜の「腐れ縁だものね」も含めて、女子側の思惑がどんどん複雑になっていくのが読んでいて楽しい。
20話まで読んで「この作品、一体どこに着地するんだ」と全く予想がつかない。それなのに読み続けたくなる。これはキャラクターの引力だけで引っ張れている証拠。続きが気になります。