転生ものは成り上がりによる天下統一や平和を目指しがちだが、鉄の目的は一貫して最高級の肉と酒を、最高の環境で味わうこと。そのために行う合理的かつ冷徹な手段と、周囲がそれを慈悲深い聖人と誤解して神格化していくギャップが、非常に小気味よく描かれている。
特に、自身の欲望を満たすための農業改革や、役人への脅迫、そして愛欲さえも民への慈悲という大義名分にすり替える詭弁のセンスは圧巻。
欲望を肯定するだけでなく、それを実行するための圧倒的な努力を怠らない姿勢があるからこそ、読んでて鉄の強欲な覇道を応援したくなる。