第1話の主人公・イル・カーンの描写が最高だ。
着任報告のためのおとなしい輸送任務のはずが、新しい配属先の仲間が皇獣に囲まれているのを見てあっさり命令無視で飛び出す。「報告書を書く前に配属先のメンツが全滅しては、さすがに笑うに笑えない」という言い訳が絶妙にドライで笑える。
戦闘描写の密度が高い。カットラスと大盾だけの予備機で皇獣三体を一閃で首を飛ばし、次の瞬間には謎の黒い機体「羊飼い」と交戦する。「漆黒が一瞬で点から面へと膨れ上がる」という表現のような、緊張感のある場面転換が巧みだ。
機化人(サイボーグ)が全人類化した社会という設定も興味深い。コクピットに流れる「体内から響くモーター音」という描写一つで、主人公自身も義体化していることが自然に伝わってくる。
命令違反の問題兵士が最前線に赴く王道の始まりながら、世界観の作り込みと会話のテンポが良く、一気に引き込まれた。