我が国における現行の対策では解決が完全に見込めなくなってしまった少子化問題。将来的に結婚が望めず、消極的となっていく国民意識――常識的で現実的な試行錯誤は焼け石に水。もはや異次元の気概と覚悟で臨まなければ解決しない喫緊の課題の一つと言えるでしょう。
さて本作です。
政府が結婚しない国民に人権はないと思わせる内容を明文化した法律を施行する驚愕の時代。独り身には様々な保証やサービスが制限され肩身が狭くなっていく舞台設定。この先々、狭隘的な人生を回避すべく婚約者探しムードが醸成され、次第に婚活熱が高まっていくツカミのあるストーリーが魅力です。
フラれて気づけば感情移入。
後輩の些細な心情の移ろい。
そして、訪れる恋愛感情の芽生えるささやかなシーンも見逃せません。
やや強引な解釈や独断とバイアスのかかり方には目を瞑るとしても、固定観念にとらわれない施策的な結婚・少子化対策の片鱗を見せられた気持ちになりました。一旦それまでの経験や概念を取り払って頭を柔らかくして読んでみるのも一考の価値ありというもの。
私たちに関わる未来像を一味違った理知的でおかしみのある側面から捉えた本作。現代的な問題を楽しみながら課題解決へと適えてくれそうな親しみのある物語です。