第10話壊れた忠誠

昨日の出来事からずっと考えてる。


ADS。


千年前の悪魔の災厄をきっかけに政府が作った組織だ。


あの時、赤い目の者が災厄を起こした。


それ以来、赤目は能力持ちだと恐れられ、差別されるようになった。


政府はその差別心を利用して赤い目の子供を預かって浄化する。


浄化という名目の拷問だろうがな。それじゃないとトラウマなんてできないだろう。




あの子達を政府から救う。


と同時に復讐相手の情報を手に入れる


...千年以上、全く情報がなかったんだ。


それに頼るのもありかもしれない。


だが、今彼女達とは敵対中だ。


救うには信頼を得ないと無理だろう。




こじんまりとした本屋。


椅子にもたれかかりながら考えを巡らす




...本棚の隙間からクロと目があった。


クロの口元が動く。


「き た よ」




その言葉に直感的に窓の外を見る。


ADSの人が歩いているではないか。人々はADSの人から離れるようにして歩く。




(そういえば俺達のこと狙ってたな。探してるのか?...昼は目立ちすぎる。夜まで隠れるか。)


悪魔についての本を再度読み出した。










時計塔の頂上。


街を眺める。街は地上の夜空みたいで綺麗だ。


「クロ。そっちも何も見つけれないか?」




「んーーー?見た感じいないね。でも、案外近くにいたりして。」








時計塔近くの屋根裏。


「キャーなんですけど。ヒッなんですけどー。金髪のやつがこっち見てるよ!!」




「お前の能力で気配消してるんだろ?ならそれは気の所為だろ。頭いかれてんのか?」




「気づかれてる。....お前はここにいろ。怪我がまだ残ってるだろ。猫みたいなやつ。お前は来い。」


そう言ってルルは一足先に時計塔へ向かった。




「んじゃっ。」


続いてルルを追いかける。








ヒリッとする感覚が体を走る。


反射的に振り返った。ガキンッ剣がシールドに突き刺さる。


切れないのを感じとったようだ。すぐに後ろに下がった。


ADSの人達が来たようだ。




隣から殺気を感じた。


「クロ。」


目配せをする。クロと目があった。


殺気を収めてくれたようだ。




ADSの者の方向に目を向ける。


「俺はお前達を殺すつもりはない。話がしたい。」




「対話?何それ。そんなに死にたくないのー?」




ルルといたもう一人。


有無を言わずに俺に向かって踏み込んで来た。




腕から長いロボットアームのようなものが生える。


先端の形状が変化して銃が現れた。




「バンッ。」


爆風で空中に飛ばされた。


時計塔から落ちる。




もう片方の腕からもアームを出し、時計塔の壁に自らを固定した。


そこから連射を仕掛けてくる。


浮遊してどうにか攻撃をかわした。




「おお!すごいね。それでこの前も生き残ったんだ。」




(あの腕を切り落とせば)


攻撃をかわして懐へ潜り込んだ。


ナイフを剣に変えながら腕に斬りかかった。




銃の音が鳴り止み。


一瞬で彼女が消えた。






バンッと爆風が後方から飛んできた。


時計塔の壁を突き破り、


その中に飛ばされた。




カハッ。


(油断していた。彼女達も赤い目。俺と同じ能力者だった。)




アームを使い彼女も中に入ってくる。


月光に照らされて首輪が光っていた。


近くまで来る。頭に銃を突きつけられた。




「あっけないね。私がこれを引けば終わりだよ。」


「...何その目。」




ガキンッという音とともに銃が地面に叩きつけられる。


その隙に彼女を抑え込んだ。




「そうだったね。


シールドは魔法で、君の能力は不明なんだった。


さっき銃を剣で叩きつけたよね。剣が一人でに動いてた。


剣を操る能力ってとこ?」




「正しくは。剣に命令してるってとこかな。」




「....殺さないの?」




「言っただろう。俺は対話を望んでる。


君たちを政府から救ってやる。


だから悪魔の情報を俺にくれないか?」




「...無理。政府に反抗はできない。」




「その首輪が理由だったりする?」




「.....」




首輪に赤い点滅が出る。


この子の体がブルっと震えた。




「私はあんたに手を貸さない。情報なら自分で集めて。」


そう言いながら首輪に手を伸ばす。


カチ、カチ、と音が響く。




バチッと電気が流れた。


ヴッ


低いうめき声をあげた。体が震えている。




「私は政府に忠誠を誓います。政府の為に生きて政府の為に死にます。」


声が震えていた。


「私は政府に忠誠を誓います。私は政府に忠誠を誓います。」


その言葉だけをずっと繰り返していた。




刀で首輪を切ろうとする。


固くて切れない。それどころか電気は更に強くなっていった。


彼女は低く重いうめき声をあげていた。




刀を首輪から遠ざけた。


電気が弱くなる。


(壊そうとすると電気が強くなるのか。)




首輪に触れる。


俺にもバチッと電気が来た。




彼女の目は死んでいた。


ずっと同じ言葉、壊れた機械のようだった。




首輪の後ろに鍵穴のようなものがあるのに気づいた。


剣を小さな形状に変える。


鍵穴をどうにかいじった。


俺の手に走る痛みもだんだん強くなっていってく。




ガチャっ。


首輪が開いた。


電気の音もしなくなった。




彼女の瞳から大粒の涙がいくつもこぼれ落ちた。




次の瞬間


俺に抱きつく。




「……っ、う……」


押し殺すような声。


彼女は俺の服を強く掴み、子供のように声をあげて泣き出した。

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