数字(ログ)は嘘をつかない 〜無能だと追放された鑑定士、実は国家予算を視ていた。粉飾まみれの公爵領が崩壊する中、僕は隣国で「聖計者」として成り上がる〜
第36話:最後の鑑定対象「国家の寿命」(ステート・オーディット)
第36話:最後の鑑定対象「国家の寿命」(ステート・オーディット)
不況が底を打ち始めた頃、リヒトは王国の若き王に一通の書簡を送った。それは、王権そのものを解体し、近代的な議会制へと移行することを促す「国家の鑑定書」だった。
「陛下。この国を鑑定した結果、今のままでは寿命はあと三十年です。一人の天才や、一人の王の決断に頼る国家経営は、変化の激しいこれからの時代には耐えられません」
【対象:バルトレイ王国】
【欠陥:意思決定の個人依存】
【処方箋:三権分立と予算の民主管理】
「リヒト、君は……自分から権力を捨てるというのか? 君が作ったこの巨大な経済圏を、名もなき民衆の代表たちに渡すというのか」
「ええ。僕がいないと回らない世界は、失敗作なんです。……誰がリーダーになっても、数字と事実(データ)に基づき、国民が自分たちで価値を判断できる仕組み。それこそが、僕が最後に遺すべきインフラです」
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