エピローグ:あなたの信じる「真実」はどこにあるか

維新の立役者たちを突き動かした原動力。


それは、史実の泥臭いゲリラ戦術家「楠木正成」ではない。


『太平記』の編纂者が筆先で生み出し、江戸の講釈師たちが語り継いだ「虚構の正成」だった。


​一つの「嘘の物語」が、国家を転覆させたのだ。


​しかし、ここで問いたい。


その「嘘」を信じ、刀を振るって流した志士たちの血は偽物だっただろうか?


否、それは紛れもなく熱く赤い「本物」の血だった。彼らが倒した幕府も、その血肉の上に築かれた近代国家・日本も、間違いなく確かな「現実」である。


​事実に基づいていない物語は、無価値な「偽物」なのだろうか?


それとも、人間の魂の奥底を震わせ、命すら投げ出させ、現実の世界の形を根本から変えてしまうほどの力を持った時点で、その虚構は「事実」を凌駕する、一つの偉大な「真実」へと昇華したのだろうか。


​物語には、世界を改変する魔力がある。


人が何かを強く信じ、人生を懸けるとき、その動機が「正確な歴史的事実」である必要はない。


大切なのは、それがどれほどの熱量を持って、その人の心臓を打ち鳴らしたか、なのだ。


​現代を生きるあなたが、今もし強く信じている「理想の生き方」や「正しさ」があるとしたら。


それはもしかすると、過去の誰かが美しい言葉で紡ぎ出した、一つのお伽話に過ぎないのかもしれない。


​嘘と真実、偽物と本物。


その境界線を引くのは、神でもなければ歴史家でもない。


物語に涙し、何かを信じ、明日を変えるために一歩を踏み出す——私たち人間の、燃えるような心そのものなのである。

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日本を動かした嘘 Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter

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