目はよく見えるのに、
何を見ても心がほとんど動かない湊。
目は見えないのに、
音や匂いや空気の変化から、
世界をとても豊かに感じている愛。
この二人の対比がとても好きです。
特に印象に残ったのが、
愛が湊に「今、どんな景色?」と聞く場面でした。
愛に景色を伝えるため、
今まで何となく通り過ぎていた道を見直し、
葉の色や木漏れ日の模様、
小さな花まで言葉にしようとする。
目が見える湊が、
目の見えない愛と出会ったことで、
初めて「見る」ということを覚えていく。
その関係がとても綺麗だと思いました。
そして少しずつ、
愛が別の人と楽しそうにしているだけで
胸がもやっとしたり、
興味がなかったシェイクスピアを自分から調べたり。
本人だけがまだ気づいていない変化も微笑ましいです。
「恋は盲目」という言葉が、
この二人の物語でこれからどういう意味になっていくのか。
続きを読みたくなる作品です。
「死んだ魚のような目をしている」――幼い頃からそう言われ続けてきた鈴木湊は、綺麗な夕焼けを見ても、映画を観ても、頭で理解するだけで心が動かない少年。
そんな彼の世界が変わり始めるのは、高校2年生の春。盲学校から転校してきた少女・鮎川愛との出会いがきっかけだった――。
目は見えているのに、見えていなかった湊に、目が見えない愛はたくさんのことを尋ねます。通学路にいる小鳥の様子、木漏れ日の模様、太陽の色……。当たり前すぎて意識したこともなかった景色を、湊は言葉にしようと苦心しながら向き合っていきます。
この過程がとても丁寧で、読んでいるこちらまで身の回りの景色をもう一度よく見てみたくなるような読書体験を味わえるのがこの作品の大きな魅力です。
本作は、出会ってすぐに惹かれ合い、イチャイチャするような物語ではありません。等身大の少年少女が、日々の何気ないやり取りを積み重ねながら少しずつ確かに距離を縮めていく。
急がないからこそふたりの関係の変化を楽しめるのが本作の魅力です。
加えて、景色の描写がとても緻密で美しく、湊の目を通して語られる光景がそのまま自分の目の前に浮かんでくるような感覚がありました。
「見える」とはどういうことか。当たり前の日常が、実はどれほど鮮やかなものなのか。
静かで丁寧な筆致の中に、そんな問いかけがそっと込められた作品です。
心が動くきっかけを探している方、丁寧な青春小説が好きな方に、ぜひ読んでいただきたい一作です。
両目とも視力一・五以上なのに「死んだ魚のような目」と言われ続ける湊と、生まれつき光を持たない転校生・愛——視覚をめぐる対比が、タイトルからすでに鮜明に示されている。湊が愛のことを「自分と同じ障害」だと信じる微笑ましい勘違いから始まる友情が、やがて湊自身の凍りついた感情を静かに揺り起こしていく構成が秀逸だ。
レビュアーたちが評するように、見えすぎるのに何も感じない湊と、見えないのに世界を豊かに聴き取る愛という対比の鮮やかさが本作最大の魅力になっている。空の色や風の温度を言葉で伝えるたび、死んでいた瞳が色づいていくという比喩が物語全体を貫いており、「恋は盲目」というシェイクスピアの言葉をなぞる章タイトル構成(「恋は盲目」「空騒ぎ」「恋の骨折り損」「夏の夜の夢」)も、文学的な遊び心と読み応えを両立させている。
連載中・全109話・18万字超、711人のフォロワーを抱える人気作。淡々とした語り口の中にふと滲む感情の揺れが、多くの読者の心をつかんでいるようだ。
2章まで読んでの感想です。
盲目の少女という特徴的な設定がありつつ、思春期ならではのあるあるや青春の王道がたくさん詰まっていて、とても楽しいです。
学校や思春期が舞台だと重たい展開になることもありえますが、この作品はキャラクターたちに悪意がないのが伝わってきて、読んでいてとても心が楽です。これからも楽しみにしています。
118話まで読んで
この章に入り重たい展開が続きますが、長く続く青春やハンデを題材にした物語として、避けて通れない痛みにしっかり向き合っているのだと感じています。それでも身近にいるのは温かい人たちばかりで、なにより作者様がこの物語は「喜劇」を貫く、と言われているので安心して読んでいられます。これからも楽しみです。