突入編

第7話 アジト

 「西町組」は現在使われていないマンションをアジトとしている。佐藤は部下の警官を4名連れて、アジトに突入することになった。


 佐藤は昔、体操を習っていた。そのため体は今でも柔らかく、軽くのけぞった時に後ろの警官に目で合図を出せるほどだ。そこに高校生時代いじめられていたため始めた格闘技の技術が加わり、不良を拘束するのはいつも佐藤だった。


 今回の殺人事件だけだと証拠が薄いため、廃屋となっているマンションに勝手に立ち入ったとして「住居侵入罪」の容疑で逮捕することにする。今回の突入で「西町組」を全員逮捕するという使命も与えられた。


 また、今回の突入に拳銃を携帯することが許可されたが、警部には「最低限の使用にしろ」と言われているため、脅しだけで使えばいいだろう。


 佐藤は自身が車を運転して、アジトへ向かうことにした。


 佐藤はマンションの前で車から降りる。アジトとなっているマンションは異様な雰囲気を漂わせていた。入り口は草木で荒れていたが、獣道のような細い道がある。


「お前ら、一応拳銃が使えるようにいつでも準備しとけ。警棒は常に持っておくように。」

『はい!』


 佐藤は先頭で拳銃を構えて、警戒しながら進むことにする。

 

 草木をかき分けて進むと、古びたエントランスが見えてきた。そこには鋭い目つきをした不良が2人立っている。手には何も持っていないようなので、佐藤は拳銃をケースに軽くいれて、警棒を取り出す。


「おい、君たち。手を頭の後ろで組んで地面に伏せろ。」

「あ? なんだお前ら? サツか? 勝手に入ってくんじゃねぇ。」


 不良が2人同時に佐藤へ殴りかかってきた。佐藤は軽く体をのけぞらせて、その拳を避ける。そして、そのガラ空きとなった脇腹を軽く押す。すると2人はバランスを崩して倒れる。その隙をついて、後ろにいた警官が手錠をかけて拘束する。佐藤にとっては簡単な仕事だ。


 おかしい。「西町組」はどの連中も強かった。潜入調査をしたものによると、格闘技経験があるものしか組に入れないという話を聞いたのだが、それにしてはあまりにも弱すぎる。少し違和感を感じたが、気にしないことにした。


 佐藤は軽く伸びをして、


「お前ら、先に進むぞ。」


 上の階に進んでいく。

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