「処理班」という冷徹なシステムの一部であった男が、一人の子供の「目」によって、長い年月をかけて内側から壊れていく。その過程が、無駄を削ぎ落とした硬質な文体で鮮烈に描かれています。四歳の子供が放った、泣くことも叫ぶこともせず、ただ「理解しようとする目」。それが、十九年の訓練で作り上げられた「聖騎士」としての殻にヒビを入れ、五年もの歳月をかけてゆっくりと、しかし確実に彼を「人間」へと戻していく描写が非常に重厚です。