物語の終盤、夫が地図から導き出した「ある推論」が、バラバラだった怪異のピースを一つに繋ぎ合わせます。しかし、納得感と同時に押し寄せるのは、抗いようのない冷たい納得とさらなる不気味さです。「実技実験棟」という名称の裏に隠された、重い沈黙。読後、自分の母校の片隅にある「誰も近づかない場所」を思い出し、その静寂が怖くなる。そんな、静かに、けれど確実に「記憶」にこびりつく傑作です。