非常に稀な作風。淡々とした文章が緊迫感と主人公の思考に合う。仕掛けて行く一手一手がすごく良かった。ちらっと読み始めてたら作業とかが手につかなくなってずっと夢中になって一気読みした。
ただ、文章が淡白すぎて何をしているのか、何処にいるのかなどの情報が足りないところが多々あった。
述べないことがこの作品においてひとつの技術であることはわかるので、美文で魅せることが大小あれど求められる小説より、漫画やゲーム、映画などの媒体向けかなという印象を受ける。個人的にはこれをアクション脱出ゲーム的なものにしたら楽しいと思う。
読むにつれて主人公への愛着が高まる分、主人公の人格への掘り下げやその後が非常に欲しくなる。そこを書かないのは美点かもしれないが、私はこの主人公好きです。