第20話緋色の心

緋色の心は修羅を殺した時から。


いや。


ずっと前から限界だった。


限界をずっと大丈夫だと言って誤魔化してきた。


ずっと笑って誤魔化してきた。


遂に限界すら超えた。


心が壊れた。


パリン。


「そうか。俺は2人ともう恋人じゃないのか。」


笑え。


いつも通りに。


2人を救えたんだ。


笑えるはずだ。


俺が助けたから。


助けた。


助けられた。


俺がやりたかった事ができた。


2人はこの先死ぬ事もなく。


2人で綺麗に笑ってくれるだろう。


そうだ。


俺は、綺麗に笑う2人が見たかった。


はずだ。


なのに。


なぜだろう。


笑えない。


いつも通りができない。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。笑えない。………。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


一応まだ桜子とコアが死ぬ可能性もなくはな

い。


スキル:無効化は、能力:救世主への無効化を無効化することに使っておこう。


これで2人の危機には必ず駆けつけられるはずだ。


「後はもういいか。戻ろう。」


「スキル世界侵略発動。元の世界へ。」


元の世界に戻ります。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


俺は白い空間にいた。


「みかえる?」


「はい。そうです。天使ミカエルです。」


「なんで?」


「貴方はまたしても人の運命を変えて大切な人を救いました。偉業を成し遂げたのです。前回はスキルを上げました。まぁ私が緋色にスキルを与えた1番大きな理由は、貴方が私のお気に入りだからなんですがね。まぁだからお気に入りの貴方に聞きます。今回は何かして欲しいことはありますか?」


「…………………………………………ない。」


「………そうですか。わかりました。」


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


俺は気がつくとベットの上に座っていた。


「ああ、懐かしいな。」


あっちに死に戻りも入れたら半年以上居たからな。


とりあえず平和なアニメでも見よう。


「ひいろー。」


母の声が聞こえる。


「どうしたの?母さん?」


母さんは笑顔で部屋に入ってきた。


ああ、良い笑顔だ。


そのはずなのに。


なんでこんなに。


憎いのだろう。


「お金が足りなくなったの。パチ…。じゃなくて、借金の利子が払えなくてね。いつもみたいにお金貰えないかしら?」


俺のバイト代の半分はいつも持ってかれる。


それでも殴られるよりマシだ。


それに借金ならしょうがない。


この借金は父さんが残したものらしいし。


詳しくは教えてくれないけど。


「いいよ。」


「あれ?緋色笑ってないわね?珍しいわね。」


「はは、悲しい夢を見てね。」


「そうなの?まぁそんな気持ち悪い顔してないでいつもみたいに笑いなさいよ。」


気持ち悪い?


そういえば。


思い出した。


蓋をしていたはずの記憶が。


溢れ出す。


俺が笑顔になった本当の理由は母さんだった。


昔母さんが殴ったり、蹴ったりする時必ず俺に言っていた。


『笑え!笑えよ!楽しいでしょうが!』


ああ、忘れようとしていたのに。


溢れてくる。


母さんに少しでも機嫌を良くしてもらう為に俺はずっと笑ってたんだった。


人を笑顔にする為なんて理由じゃなかった。


忘れたフリがもうできない。


そう。


常に俺が笑ってた理由は。


ただ辛い記憶を忘れたフリをして誤魔化していただけ。


辛かった事を少しでも忘れられるように。


なら今が1番笑って誤魔化すべきなのに。


笑えない。


「…?どうしたの?もっと気持ち悪い顔になったわよ。そんなんじゃ女の子に捨てられるわよ。」


女の子。


恋人。


桜子。


コア。


捨てられる。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


今まで抑えていたはずの感情が溢れ出す。


うるさい。


黙れ。


なんでお前が生きている?


なんでお前が笑っている?


ゴミがまだ何か喚いている。


「うるさいな。黙れ。」


ゴミを殴った。


これで俺もゴミの仲間入りか。


俺はゴミクズになったわけだ。


「どうした?1回殴っただけだぞ?」


「ひ、ごめんなさい。もうやめてください。」


ゴミはこんなにも弱かったのか。


もっと早くこうすれば良かったな。


なんで俺はゴミに容赦なんてしていたんだろう。


ああ、でも殺したら刑務所か。


「はあー。もういいから出て行け。」


「わ、わかりました!」


ゴミを殴って気分が良い。


はずだ。


なのに笑えない。


なんで?


俺は震えているんだろう?


ああ、痛いな。


殴ったのは俺なはずなのに。


俺が殴られるより痛い。


ゴミの怯えた顔が忘れられない。


俺はなにをしているんだろう。


「まあいいか。忘れよう。」


明日学校だしな。


まだ早いが寝るか。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


「はー、はー、はー、ゆ、夢か?」


桜子とコアに拒絶された時の夢を見た。


「今は、5時か。」


早いな。


「でも、寝るのはもういいや。」


寝汗がひどいな。


シーツに汗で俺の形が残ってる。


これは、洗わないとな。


汗がついていたパジャマやシーツや毛布などは、全て洗濯機にぶち込んだ。


風呂に入って、朝飯を食べた。


「学校行こう。」


俺は今日は1人で行くことにした。


いつも一緒に行ってる楓には連絡しておいた。


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


教室に着いた。


鍵は空いてなかった。


職員室に鍵を取りに行く。


職員室の扉が少し空いていた。


見てみると。


そこには桜子とコアがいた。


よく見ると違う。


でもお嬢様とメイドだ。


俺の高校にこんな奴らはいなかった。


転校生かな?


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


あれ?


なんで俺外にいるんだろう。


ああ、そうか。


2人に似てるから。


逃げてきたのか。


トラウマになっているのか?


ああ、なにかないのか?


気が逸れるもの。


どこかに?


どこかに逃げたい。


「この世界から逃げよう。」


俺は全速力で家に帰った。


本棚から漫画を乱暴に引っ張り出した。


 今まで丁寧に扱ってきた漫画がどんどん床に散乱していく。


しばらくして緋色は止まった。


「これでいいか。」


 緋色は、『失恋を癒す天使達』というタイトルの漫画を手に持っていた。






世界停止。


ミカちゃんの漫画紹介部屋。


紹介する漫画:『失恋を癒す天使達』


漫画のあらすじ。

主人公の男にはずっと片想いしていた幼馴染がいる。でも、何度告白しても振られてしまう。

そんなある日、その幼馴染がある事が起きて死んでしまう。主人公は、告白すらできなくなってしまった。幼馴染が死んで悲しんでる主人公がヒロイン達とだんだん仲良くなることで立ち直っていくハーレム系の漫画である。



そして、世界は動き出す。




「でも、この漫画俺によく似た見た目の悪役がいるんだよな。それだけがちょっとな。」


「まあ、どうでもいいか。」


そんな事よりこの漫画には俺の推しがいる。


 俺の推しはヒロイン達ではなくて主人公の幼馴染だ。


俺の初恋でもある。


一目惚れだった。


銀髪ボブの綺麗な髪。サファイアの様に輝いている瞳。高い鼻。綺麗な笑顔。


まあ別にこの子と恋愛したいとかじゃない。


ただこの子と同じクラスでこの子を眺めたい。


それだけでいい。


それだけがいい。


俺はこの子に近づきたくない。


拒絶されたら俺は。


俺は。


だから。


ただ見るだけでいい。


「スキル世界侵入発動。 指定世界『失恋を癒す天使達』」



………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


世界を発見しました。

これより侵入を開始します。

侵入方法:憑依

貴方が世界に侵入した事によってこちらとあちらの世界にパイプが出来ました。このパイプは、貴方と関わりが深い人物であればある条件を達成する事により使う事ができます。 


………………。


……………。


…………。


………。


……。


…。


貴方と適合する体を発見しました。


適合体から魂を取り除きます。


成功しました。


取り除いた魂は穢れを持っています。


なので、………に送られます。


は?憑依?魂?


目の前が暗転する。


しばらくして目の前が明るくなる。


「はあー。憑依するのか。」


うーん。


でも特に変わって無さそうだけど?


鏡を見た。


そして、理解した。


この体が誰のものなのか。


黒髪黒目。そこそこに鋭い目つき。体型は普通。泣き袋にあるホクロ。


「あー。確かに似てるもんな。お前。」


 俺はこの漫画の悪役である山城蓮司(やましろれんじ)に憑依したらしい。



あとがき

もしよかったら☆☆☆と❤️をください。

後、どこが良くてどこが悪いかアドバイスくれたら嬉しいです。


ちなみに母が言った女の子は楓の事です。









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