第15話死に戻り
俺は自殺した。
俺は真っ黒な空間にいた。
機械みたいな声が響いた。
「世界の時間を戻せます。いつに戻しますか?」
俺は甘えを捨てた。
いつも人を助ける時は、1人だった。
1人は辛かった。
だから。
コアに甘えた。
言い訳はいくらでもある。
初めてできた支え合える存在だから。
恋人だったから。
2人の方が楽だったから。
でも言い訳なんてしても。
俺が嘘つきなのは事実で。
コアが傷ついたのも事実で。
俺は誰にも甘えちゃいけなかったのも事実で。
なのに甘えてしまった。
ごめんな。
コア。
辛い思いさせて。
最初からこうするべきだったな。
後は任せろ。
いつも通り1人でやるから。
安心しろ。
お前らは俺が守るから。
ああ。
でももし全て終わったなら。
2人を抱きしめたい。
2人に抱きしめて欲しい。
2人と笑い合いたい。
だから俺は頑張る。
だから俺はいつも通り笑う。
いつも通り笑えているかな。
わからない。
まぁどうでもいいか。
とりあえず、彩乃と戦う為の条件を整えたい。
戻る時間の条件はいくつかある。
まず、修羅と彩乃と俺達5人が居る時がいい。
そして、桜子とコアとは恋人のままがいい。
まぁ後は周りに人がいない事が望ましい。
俺は記憶を遡った。
あったな。
「遊園地からの帰り道。」
世界を戻します。
………………。
……………。
…………。
………。
……。
…。
戻しました。
「今日は、楽しかったね。」
「そうだね。」
「そうだにゃんね。」
「そうですね。」
「…………っ!?」
……彩乃。
桜子を殺すくせになんでそんなに楽しそうなんだ?
俺はお前が分からないよ。
「…?緋色は楽しくなかった?」
「楽しかったよ。」
「桜子、コア。」
「こっち来て。」
桜子とコアが疑問符を浮かべながらも来た。
俺は、2人を抱きしめた。
そして。
「修羅。こっち来て。」
修羅が疑問符を浮かべながら来た。
「修羅。頼みがある。桜子とコアを守ってくれ。」
「…………!?わ、わかった。」
修羅は俺の雰囲気からなにかを察したのか黙って従ってくれた。
「桜子とコアはここを動かないでね。」
桜子とコアも疑問に思いながらも従ってくれた。
修羅の最強の能力は絶対防御である。
そして、
作中でも本気で人を守る時に使っていた技。
空間分離結界。
これなら他のどんな能力ですら破れない。
桜子とコアは安全だ。
「修羅ありがとう。」
「彩乃」
俺は、いつも通り笑って言った。
「死ね。」
初めて言った言葉だった。
俺は能力をフルに使って殴った。
彩乃はその場にはいなかった。
消えた?
自分の存在感を無にしたのか?
だから見えてるはずなのに見えない。
さっきまで目の前にいたのに。
もうどこにいるかわからない。
桜子が殺されるわけだ。
俺は目を瞑り。
スキルと能力を最大限使う。
自分に来る攻撃だけに集中する。
「そこだ。」
ナイフを持った手を掴んだ。
フルスイングで顔面を撃ち抜いた。
死んだ。
俺が。
痛い。
おそらく腕を掴んだせいで俺に対して、能力を発動されたんだろう。
俺の肉体を無にされたんだと思う。
もう一度。
彩乃に死ねと言ったところから始めた。
次は魔力玉を周囲に浮かせて攻撃を防ぐ。
ナイフを弾いた。
魔力玉は一つ消えただけ。
これなら勝てる。
ナイフが空中を切り裂く音が聞こえた。
10本全て防いだ。
ナイフが飛んできた場所に魔力玉を当てる。
当たった。
ナイフが。
俺に。
いつの間にか俺の心臓にナイフが刺さっていた。
ナイフの存在感をゼロにされた。
痛い。
もう一度。
触られて無にされた。
痛い。
もう一度。
魔力玉を全て無にされ触れられた。
痛い。
もう一度。
肉体を無にされた。
痛い。
もう一度。
ナイフも全て防いだ。
スキルと能力を活用して防いだ。
防御のみに集中した。
3時間経った。
能力の任意発動ができない。
普通に刺されて死んだ。
痛い。
もう一度。
綾乃に攻撃を掠らせた。
殺された。
痛い。
もう一度。
彩乃に攻撃が当たった。
殺された。
痛い。
もう一度。
俺のパンチがモロに入り、彩乃の腕を折った。
腕の怪我を無かったことにされた。
殺された。
痛い。
もう一度。
蹴りで彩乃の足を折った。
無かったことにされた。
殺された。
痛い。
もう一度。
心臓を貫けるかと思ったら。
首にワイヤーをいつの間にか巻かれていて。
首が落ちた。
痛い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう一度。
殺された。
痛い。
怖い。
もう何度繰り返しただろう。
何度も何度も何度も。
死んだ。
死が怖い。
何かにさらに大きなひびが入った。
能力が発動します。
能力の効果により。
貴方は決して心が折れません。
ああ、ひびが無理矢理塞がれた。
俺はいつも通り笑えた。
もう一度。
「くっくっくっ、はっはっはっは、彩乃お前は、俺を強くしてくれる。」
能力の効果と彩乃に何百回も殺されたおかげで死の恐怖を少しは拭えた。
まだ死は怖い。
でも2人を失うことに比べたら。
なんて事はない。
「…?なんの話ですか?」
彩乃がナイフを振り被りながら疑問を投げかけて来た。
彩乃の攻撃を余裕で回避できるようになって来た。
「こっちの話だ。お、隙あり!!」
あいつは、ナイフを投げる時に一瞬隙が生まれる。
俺を殺すためにナイフに無効化の力を付与するからだろう。
とりあえずそこを狙い、1発、蹴りを右腕に叩き込んだ。
俺は今まで能力を上手く使えていなかった。でも、今は違う何百回やり直したと思ってる?
俺の能力の熟練度はもう過去とは比べ物にならない。
普通には、俺は、お前を感じる事はできない。
でも能力のおかげで魔力を自由自在に動かせるようになってんだ。
任意発動して増やした魔力を俺の全方位に張り巡らせればその空間の事が手に取るようにわかる。
だから逆に目立つんだよ。
存在感ゼロは。
腕の怪我を無かった事にするのにかかる時間は、0.5秒。充分すぎるほどの隙だ。
その隙にさらに左腕を蹴って折った。
やはり、痛覚は無にしてるか。腕を折られる瞬間に全く痛みに怯む事なく、ナイフで俺の腕を切られた。
「いや、マジ強かったわ。でももう終わりだよ。」
「や、やめ…!?」
今回戦い始めた時からずっと魔力を圧縮し続けて小さな弾を作っていた。
俺の能力の任意発動で増やした魔力の3分の1を使った弾だ。
魔力を自由自在に操ろうとすると魔力の消費が通常より増える。
だから、俺はこの弾を当てるのにほとんどの魔力を持ってかれるだろう。
自由自在に操れるって言っても戦いながら尚且つ細かく想像しないといけないんだから。
まぁ今の俺にはこれで限界だ。
マッハ15の弾丸。
「ごめん。」
バン
レールガンの約2倍の速さを持った弾丸は、東條彩乃の頭を消し飛ばした。
俺が最後に見た彩乃の表情は、恐怖に歪んでいた。
説得の道もあったのではないか?
分からない。
ああ。
でも、殺したくなかったな。
違う。
いつも通りにしろ。
「ふー。終わったー。」
ビュン。
「は?」
痛い?
あれ?俺いつから寝っ転がってた?
起きないと。
…ん?
立てない。
俺は自分の下半身に目をやった。
下半身なんて存在しなかった。
なぜ?なんで俺の下半身が消し飛んだ?
「今のは危なかったですね。」
そこには無傷の彩乃が立っていた。
は?なんでまだ生きてんだ?こいつ?
「ふふふ、疑問を感じてるようですね。私が何故死んでいないのか。」
そりゃあそうだ。
お前の頭は消し飛ばしたはずだ。
「私は、死を無かった事にできるんです。苦しそうですね。早く楽にしてあげますね。」
「な………!?」
俺が最後に見た光景は、東條彩乃とその周りに浮く白い球体だけだった。
ああ。
でも、彩乃が死んでなくて良かった。
◆
あとがき
もしよかったら☆☆☆と❤️をください。
後、どこが良くてどこが悪いかアドバイスくれたら嬉しいです。
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