現代から異世界に迷い込んだ弁護士・史峰正義。ひょんなことから、一風変わった訳ありの依頼人に代わり、さまざまな難事件や大騒動の解決に挑むことになる。異世界の非常識と法律が入り乱れる異色の異世界法廷ファンタジー。
この異世界では、自力救済が主流。裁判といっても相手は法律の素人ばかり。プロの弁護士である正義が、論理武装して裁判に挑めば勝訴間違いなし!──と思いきや、そこは異世界、毎回とんでもない落とし穴が待ち構えているんです。
妖精から依頼を受けても、姿も声も認識できない妖精では訴訟そのものが成立しない。離婚調停では、依頼人が悪魔の嫁と魂の契約を結んでいて、命まで懸かった一大事に。さらに殺人事件の弁護を引き受ければ、殺された被害者本人がリビングデッドとなって証言台に立つ。「これだからファンタジーは!」と正義が頭を抱える展開に思わず笑ってしまいます。
完全にお手上げな状態から、いつも起死回生の一手を繰り出す正義の悪知恵に驚かされるんです。必ずしも正義や真実に忠実なわけではありません。しかし誰もが納得のいく結末になっているのがお見事。最後の判決が下るその瞬間まで先の読めない、奇想天外な法廷ドラマから目が離せません。
(「法の名のもとに」4選/文=愛咲優詩)