亡き妻への想いにとらわれた男と無念を残す女騎士の亡霊の邂逅の物語。
中世にもちろん生きたことはないが、その緑の丘を感じるような情景描写にあっという間に物語の世界に取り込まれるような気がした。
亡霊を避けるために、返事をせず、生命の息吹の濃いものを思い浮かべて唱えるシーンや市まで出かけ婚礼衣装を求めるシーンが、映画の一部分のようで、物語に現実味を与えている。
このしっかりした舞台で繰り広げられるストーリーは、儚く、美しく、男の誠実さや女騎士のやさしさが描かれていて、非常にドラマチックで、心を打つ物語だった。
さて、男は亡霊に連れされてしまうのか。
男の嘆きはいやされるのか。
美しく、物悲しく、そして心温まる幽霊譚、霧けぶる廃砦を思い浮かべながら、
読んでみてはいかが?