「自分は、なんのために物語を書いているんだろう」
そんな風に思ったことは、誰しもがあるんじゃないかなと思います。
〝何のために〟
その原点とは一体、何なのでしょうか。
承認欲求を満たしたい、たくさんの人に読んで共感してもらいたい、お金を稼ぎたい――。
理由は何であれ、自分の一部を、時には魂を削って、羞恥に晒そうとも、それでも、表現したい。
そうでも思わなきゃ、筆なんてとりません。
時間もかかるし、面倒だし、報われるかもわからない。
それでも、そうして紡がれた言葉、世界は、無価値なんかじゃないですよね。少なくとも、自分にとっては。
ラストのルビ表現にあるように、創作は〝分身〟です。
その分身を、自分から否定したり卑下することがないようにしたいと、自らの襟を正したくなるような、非常に揺さぶられる作品でした。