透明傘
御等野亜紀
透明傘
なんか蒸す
もうじき雨が来る
空を見上げる
青い
でも判る
もうじき雨が降る
ばーちゃんこだった
いつも畑耕してた
そのばーちゃんの口癖が
「雨が来る」
だった。
いつのまにか
私も雨が読める
傘がない
コンビニで透明傘買って
足早に用事を済ませる
外に出ると雨が降っている
空を見上げる
完全な曇り空
しかもこれは
強くなるね
資格無くても
お天気お姉さんになれるな私
無理か……勉強沢山いるんだよね
天気予報士って
――別にテレビで天気の話したいわけじゃない
自分の生活、守れたら十分だよね
透明傘を通して
雨を見る
雨から守りながら
それでも見える雨が好き
落ちてくる雨は
激しさをまして
傘では収まらずに
買った荷物や
服を湿らせていく
帰り着くころには
きっと、濡れ切っているはず
私の歩みは
止まったまま
視線は上を向いたまま
周りだけが足早に
動いていく、走っていく
なんでだろう
時間が忙しいのかな
こんなに降って来ても
ただ落ちてくるだけなのに
でも、ばーちゃんに
怒られたこと一度だけあった
濡れるって
人の体調崩すんだよね
雨に濡れて遊んで帰ったら
熱出したっけ
視線を町に戻す
雨でかすむ街の風景
いいじゃない
私は
こんな街の風景も好き
ねぇ
雨さん
君はただ落ちてくる
ただ、それだけなのにね
ゆるりと雨と一緒に帰ろう
透明傘 御等野亜紀 @tamana1971
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