文体そのものがキャラクターになっている作品で、これは技術じゃなくてセンスの領域です。
可愛く死にたいという願いが、読み始めは軽いギャグに見えるのに、パパとママのマスクの話が出てきた瞬間に全部ひっくり返る。この構造が見事。デコマスクに二週間かけたエピソードも「この子バカだな」で終わらず、「この子はこうしないと生きていけないんだ」に着地している。笑わせてから刺すのが上手い。
メイとシュシュの扱いも巧み。「食べないんだけどね」「きっと他の人から見れば、大きな独り言」の二行で全部説明してしまって、それ以上触れない。この距離感がちょうどいい。
ポストアポカリプスの設定を「メルヘン地獄」の一言で片付ける胆力、好きです。世界観の説明が全部ミミの体温で語られているから、設定資料を読まされている感じが一切ない。
続きが読みたくなるプロローグとして完璧だと思います。