第11話 デンデンの策

 「待つデン!」


 怒ったマイマイを俺は止められなかった。キンヤに詰め寄るマイマイ。これはマズイ。本当にケンカ沙汰になってしまう。ヒロキは驚いていた。まさかこうなるとは思ってなかったらしい。キンヤはマイマイに恐れもせず、仁王立ちしている。時間がない!


 「待て!待つデン。マイマイ。デンデンに任せてくれ」

 「マイ?」


 大きく出たが俺は何の考えもなかった。あぁ、どうすればいいんだ。今出来る最善の解決策。そうだ!


 「キンヤ。鬼かっ飛ばすなら校舎越えを狙ってくれ!」


 ナイス!俺。良く頑張った!なかなか良い事を言えたぞ。


 「……」


 あれ?みんなが反応してくれない。


 「マイ?」

 「ぞな?」

 「鬼ぃ?」


 みんなは分かっていない様だ。


 「だから、ホームラン打つなら場外ホームランにしてくれ。その方が鬼だろ」


 再び周りが静寂に包まれた。俺、そんなに変な事いったか?ヒロキは俺に近づいてくる。ヒィ!やられる!


 「だっははは!」


 ありゃ?最初に笑っていたのはヒロキだ。俺の肩をひとしきり叩いている。


 「デン。ちょっとヒロキ。痛いぞ?」

 「いいって事ぞな!……キンヤ。どう思うぞな?」

 「鬼やるな。俊広」


 キンヤも頷いていた。ヒロキとキンヤが笑いながら俺の肩を叩く。


 「マ〜イ」


 マイマイも笑顔である。


 「鬼策越えか……。確かにガラス割ったら鬼迷惑だ」


 キンヤは野球場の先。校舎の向こうを見据える。


 「キンヤ。そんなに飛ばせるぞな?」

 

 ヒロキはイタズラっぽい笑みを浮かべる。


 「鬼かっ飛ばす!」

 「か、かっこいいデン」

 

 あっ。ついに心の声が漏れてしまった。ヒロキとキンヤは満足気だ。

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