空から人が降ってくる。そんな常識外れの現象を、「日常」として描き切る発想力にまず引き込まれました。
しかもその世界は、所謂夢の異世界ではなく、あまりにも現実的でドライ。このギャップがとても新鮮で、「どういう世界なんだろう」と自然に読み進めたくなります。
会話のテンポも軽快で、コメディのキレが抜群。
思わず笑ってしまうやり取りが随所にありながら、ただのギャグに終わらず、キャラクターの魅力や世界観の理解にも繋がっているのがとても上手いです。
そして何より、主人公の視点が印象的。
どこか冷静で現実的な語り口が、この特殊な世界を逆にリアルに感じさせてくれます。その中で垣間見える感情の揺れが、物語にしっかりとした芯を通しているのも魅力です。
設定・会話・テンポのバランスが良く、気づけばスラスラ読めてしまう作品。
ぜひ、皆さんにおすすめしたい一作です。
異世界転移者が雨のように降り注ぐ世界。
転移者落下確率が電光掲示板に表示され、市役所に支援窓口がある。
そんな世界で何もかもを受け流す主人公。
こう書くと「発想が面白い作品」という印象を受けるだろう。
事実、その賛辞は正鵠を射ているのだが。
この作品の凄みはそこだけではない。
そんじょそこらの異常性を超えた世界観を、
「当たり前のように、普通の事のように描いている」ことだ。
この徹底ぶりが凄まじい。
真面目に、普通の事のように、日常の顔をして、
面白い事をやり続けている。
いつしか読者もその中に引きずり込まれている。
こんなセンスを持つ作者が、何か仕掛けていないはずはない。
それが明かされるのが楽しみである。
既に、違和感の形で仕込まれているであろう要素を見つけて、ほくほくしている。