大量の光が降り注ぎ世界が混乱するところから始まる壮大な物語は、天才物理学者の洋子と工学者の浩によって、宇宙規模の謎へと接近していくことになります。
その圧倒的なまでのスケールと理論的説得力は、2000年代に世界を席巻したSF小説を想起するほどで、明らかに自身の想像の限界を突破した感覚に爽快さを感じながら読み進めました。
国連本部に科学者が集結するなど、実際に起こり得そうな展開にはリアリティがあり、世界が危機的状況に直面した異変に対する人間の動きが緻密に描かれています。
地球外生命体の予感、神秘に反応する教団、海面上昇により影響を受ける難民。
個人的に宇宙科学的なものを好む傾向もあり、ケプラーの法則や三体問題といった言葉にゾクッと湧くものがあり、世界観の設計をとても楽しむことができました。
時おり難解な数字や専門的な用語が出てくるものの、すべてを完璧に理解しようと躍起にならず物語の流れに身をゆだねると、いっそう物語が持つ緊張と謎を楽しめることでしょう。
たとえ数字や理論が幅をきかせても、そこにはたしかな人間ドラマがあり、解明したいという純粋な知的好奇心のロマンがあります。
物語は途中ですが、この先どんな着地へ進むのか気にならずにはいられない壮大なSF譚です。