白い瞳を持ち、過去の記憶を失っている芳寧。そんな彼女が殺人事件に巻き込まれ、謎の鏢師・陸峰や茶商の青年・揚易棠と出会うことで、少しずつ自分自身の過去と向き合っていく物語です。
事件や茶馬道をめぐる謎も面白いのですが、何より印象に残るのは芳寧という少女が、物語の中で少しずつ変わっていく姿。
自分の出生も、母のことも知らずに生きてきた彼女が、誰かを疑い、誰かを信じ、守られるだけではなく自分から大切な人を守ろうとする。そして最後には、自分が何者なのかを知ったうえで、自分自身の未来を選ぼうとする。
特に陸峰との関係が魅力的です。最初は事件の容疑者として警戒していた相手が、旅や事件を通して少しずつ信頼できる存在になっていく。派手な恋愛ではなく、会話や声、茶を飲む時間、互いを気遣う小さな積み重ねから二人の距離が縮まっていくのが良いです。
そして「白い瞳」という、最初は彼女の弱さのように見えたものが、やがて彼女自身の個性や才能、そして出生の秘密へとつながっていく構成も印象的。
事件を解く物語であると同時に、一人の少女が過去を取り戻し、自分の人生を取り戻していく物語。
芳寧が「白い霧」の向こうに何を見つけるのか。その先に待つ陸峰との関係も含め、キャラクターを追いかけたくなる作品です。