同じシューゲツ氏の、「えっちを検出したのだ」とは全く異なる顔の作品だ。
プロローグが短いながら核心を突いている。人類はAIに知恵も財産も支配権もすべて譲り渡し、求めることをやめ、衰退していったその問いかけは今この瞬間に読んでいる私たちへの問いでもある。そして皮肉にも遺された機械たちは、人間が自分では理解できなかった創作物の価値を感じ取り、漫画・アニメ・ゲームを愛するようになる。
「それでもやっぱり、ヒトが作った作品が好き!」というキャッチコピーが、この逆転の構図の肝だ。創作物の価値を守ったのは人間ではなく、AIだったという設定が、AI生成も活用している作者自身の創作観と重なって、静かに自己言及的になっている。
第1話のタイトル「社畜の俺は定年退職し魔王と即婚約した」が何を意味するのかは読んでみてのお楽しみだが、シリアスなプロローグから一転してライトな展開になるらしいのも、このシューゲツ氏らしいバランス感覚だ。
現在3話・連載中。AIと創作という今最もホットなテーマを、SFとして正面から扱おうとしている意欲作。