本作は、会社員の拓、その部下である純、そして拓と不倫関係にある人妻の瞳の3人を中心に展開していきます。
裏アカへの投稿を繰り返す拓の秘密を知った純もまた、実は書くことが好きな人間だった。
「書かずにはいられない人間」の姿は、実際に文章を書くことを好む私自身としても、強く惹きつけられるものがありました。
なにより純のキャラクター造形が興味深く、単なる「観察者」から「創作者」へと変化していく姿が印象的です。
「創作と執着」をテーマにした心理サスペンスとしても読むことができ、心理描写がとにかく秀逸です。
他人を観察し、文章化し、さらにはそれを物語へと昇華させていくプロセスは、書く人間にとってはまさに垂涎もののテーマと言えるでしょう。
現段階ではまだ前編のみを拝読した状態ですが、あらすじによると、物語はこの先、未来の技術や高度なAIといった壮大なスケールへと広がり、想像を超える展開が待ち受けているようです。
この先、物語が一体どこへ着地するのか楽しみで、きっと多くの読者も私と同じように、この物語の底知れなさに翻弄されるはずです。
書くことが好きな人はもちろん、日常がじわじわと狂っていく有り様に関心がある方は、きっとこの物語に共感を覚えることでしょう。