心地よいリズムに身を委ねる没入感でした。「バキンバキン」と願いを割く鉈の音、詩のように刻まれる独特の語り口が癖になります。『愛されたい』と叫ぶ塊を前に、不器用な乙女心を覗かせるフキダマリの生々しい質感に深く惹き込まれました。
世界の果てに漂着する「破れた願い」を鉈で割って還すという、独創的で詩的な設定が際立つ 。不器用でひねくれ者の少女フキダマリと、真っ直ぐな好意を向ける許嫁の少年ミラハライ。二人の噛み合わないようで繋がっている会話劇が、殺伐とした背景に温かさを添えている 。巨大な「願いの塊」との対峙を通じて、人間の愛欲や業、そして救済を描き出す幻想的な筆致が魅力の一作だ。寓話的なファンタジーや、不器用な二人の距離感を楽しみたい読者におすすめできる。