第43話 予定変更


 数日遅れたとしても船食いを狩ることに支障は無いので、遠出の気分ではなくなったシリウスは最近行けていなかった病院に行くことにした。


 学園で作られたポーションなどを提供、また、新しい研究成果の治験をするなど、学園と提携している病院であり、シリウスもお世話になっている施設である。


 お世話になっているといっても通院などをしているわけではなく、シリウスの目的は特殊隔離施設という特殊な犯罪者の隔離施設だ。


 特殊な犯罪者というのは精神的に一般的ではない上に、言葉巧みに人を操ったり、魔力による他者の支配が可能だったりという研究対象とはなるが対面するのは危険な人間のことである。


 そんな施設に使われる魔道具などを提供しているのがシリウスであり、施設に収容されている人達はシリウスにより捕らえられているため、とてもシリウスに執着している。

 つまり、定期的に顔見せしておかないと何をしだすかわからないのだ。



 そんな施設なので、警備は厳重だし、入り口では持ち物検査等も行われる。本来顔パスでも入れるシリウスでさえ身分証である冒険者カードの提示を求められる程にヤバい犯罪者が入っているのだ。


 因みに、何故牢獄ではないのかというと、普通の牢獄だと牢番や他の犯罪者達を操って脱獄したことがあるからだ。

 処刑するには罪状が軽い(シリウスが未然に防いだため)ものが多いし、凶悪犯でも研究したいからと処刑せずに捕らえていたりする。

 なんなら他国の犯罪者も居る。

 通常の牢獄では脱獄により刑期が伸びるだけで管理が出来ないのでこうなったのである。



 シリウスが強かったばっかりに殺されず無力化されてしまった彼等は、犯罪心理学に大きな発展をもたらしてくれているし、なんなら頭が良いので他の分野の知識も豊富だ。


 彼等の扱いにくさに苦労している国や職員のことなど気にもとめず、研究成果で特殊隔離施設の元は取れているし文句は無いだろう、とシリウスは思っている。


 そんなシリウスが最初にやって来たのは、魅了や支配系の魔力波形を生まれながらに持っている、元高級娼婦の牢の前。

 その魔力を使って商業都市国家を乗っ取り、シリウスの倒したモンスター素材を貢がせようと仕掛けて返り討ちにあった美女、リリーの部屋である。


 この施設では、囚人達に合わせて個室が用意されていてシリウスが作った魔力を通さない強化ガラスによって廊下から中が見えるようになっている。

 因みにトイレや風呂はキチンと見えないように作られているが、この施設に入る犯罪者達は自害するような質では無いので自由度は高い。


 尚、この牢とも言えない部屋から脱出するのはシリウスでも難しいという評価なので、彼等が脱獄することは無い。



「あら、来てくれたのね愛おしい人」


 艶やかな金髪に飲み込まれそうな青い海を思わせる瞳を持った自覚無き傾国の美女、それがリリーであり、部屋に閉じ込められ、ガラスのショーケースに飾られている人形のように、シリウスを愛し待ち続けているのである。


 尚、彼女は自分を愛さない人が好きであり、自分を愛した瞬間に自分の為の道具が増えたとを喜ぶヤベェやつである。

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