第29話 Side マリア


 私が生まれ変わったことに気がついたのは3歳の時。見た目がとっても可愛くてピンクブロンドで空色の瞳で、皆に愛される女の子が私だった。

 もう絶対私は乙女ゲームのヒロインだと思ったの。この世界は、事故で死んじゃった可哀想な私のための世界なんだって!


 お母さんは死んじゃってるみたいだけど、お父さんは貴族だし、うるさく言わないし、勉強しなさいって言ったとしても家庭教師がいるわけじゃないから「やってる」って言っとけば信じてくれる。

 こんなに私に都合が良いことしか起きないんだから、この世界が私のための世界だって確信したわ。

 ヒロインが男爵って爵位が低い家なのも、乙女ゲームでありがちだったし。


 でも、私が何の乙女ゲームのヒロインなのかずっとわからなかったのよねぇ?


 領地で問題が起こったってなった時も私は光属性が強いから聖女候補になって学園に通えるって説明されて、聖女とかやっぱりヒロインなんだって思ってたの。

 そして入学当日に王子様を見て、元になったゲームのことを思い出したのよ。



 元の私は女子高生で、漫画とかゲームとかはオタクが好きなやつって認識でまったく触れてこなかったの。

 友達も、話題は流行のメイクとか服とかそういうタイプ。


 でも、とあるドラマが流行って、原作が乙女ゲームってやつで、それをやってないやつは流行遅れって雰囲気になったから私もやったの。

 面白かったって皆言ってたけど、話題になったからそれが特別なだけで他のゲームは興味ないんだって。


 でも、私はイケメンが甘い言葉でお姫様扱いしてくれることにちょっと幸せを感じて、乙女ゲームにハマっちゃったの。


 高校生だしお小遣いも少ないし、チヤホヤしてもらいたいだけだから、検索してイラストを気に入ったら攻略サイトでどんなゲームか確認して買ってた。

 別にストーリーを楽しみたいんじゃないのよ、私はイケメンに甘い言葉を言われたいの。


 で、タイトルはダサいんだけどキャラがカッコよくて攻略サイトを確認したら簡単そうだったから買ったゲーム。

 そのゲームの世界だわ、ここ。


 気がついたとき、どうしようと思ったの。だってやり始めてみたら凄くつまらなくて、イチャイチャしてくれないし!メインヒーローの王子だけはクリアしたけど他の人をクリアする気にならなくて途中でやめちゃったの!



 でも、きっと、つまんなかったゲームだけどキャラはカッコいいから自由にイチャイチャして楽しんでってことなんだわっ!


 だってゲームの攻略キャラ達がめっちゃチョロいんだもの!他のイケメン達はチョロいのとそうじゃないのがいるんだけど攻略キャラだけは全員チョロい。


 ――と、思ってたんだけど、サイトで顔イラスト載ってたわよね?って思ったシリウス先生だけは何か変なのよねぇ。

 たぶん攻略キャラだし、私のためのイケメンなのに、なんでチヤホヤしてくれないのかしら?


 あ、まさか……厳しくするのが愛情表現ってタイプのキャラなのかしら?えー?そんなの嫌よ!私は甘やかされたいんだもん!


 んもぅ!隠し攻略キャラの第二皇子といいシリウス先生といい、シナリオつまんないくせに変なキャラまで作んないでよ!


 しかも学園に来てからマナーだなんだってうるさい!ゲームシナリオが残ってるみたいで女子にハブられるし!

 でもシナリオ通りに事件解決とかしなくても王子達は攻略出来たし、シナリオなんて無視で良いわよね!


 あ~あ、早くお城でお姫様みたいな綺麗なドレス着てパーティーしたいなぁ。

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