本作は、トラックに撥ねられるのではなく「バグだらけのWeb会議システム」を通じて異世界と繋がるという、非常に斬新なポータル・ファンタジーです。主人公の龍一が、フリーランスのプログラマーとしての知見を活かして異世界の謎に迫る姿は、地に足がついた面白さがあります。
特筆すべきは、その緻密な世界観設定です。単なるファンタジーではなく、明治時代の日本との繋がりを感じさせる和洋折衷の街並みや、近代兵器を凌駕する「チタン製の骨格を持つ魔物」など、理系の好奇心を刺激する要素が随所に散りばめられています。大学の研究室を巻き込んで、個人の不思議体験が「世紀のプロジェクト」へとスケールアップしていく展開にワクワクが止まりません。自分のPCの横にあるWebカメラを、思わず二度見したくなるような、日常の延長線上にある物語です。