シルバー・ウルフ
タロ (ラーメンブロガー)
第1話 大阪十三
その街のビル風は強い。
煙草が吸いたい・・
人もまばらな夕刻前の阪急十三駅
地下道を下り東口を目指す
雨が線路からしたたり溜息をついた
セットした長髪が台無しだ・・・
たちどまり溜息をつくとそのまま狭いアーケード街に向かっていく
そこには時代に取り残された小さなカフェがあった
タロはここに向かいながら
納車してすぐ当て逃げされた新車の事を思い出していた
その喫茶店は年代モノのカウンター、ステンドグラス調の出窓、
一輪の花がさりげなくそこに刺してある
ふっくらしたおさげ髪の店員が
素っ気ない態度でおしぼりと水を無造作に置いていった
ここの娘らしい
不動産業を営む先日引退した主人に代わったようだが
変わらず商売っ気のない新店主のようだ
ディーエヌエイはやはり存在するのだろう
男は気だるく面倒くさそうにテーブルにつくと
「ブラック・・ホットで・・・」
おもむろにノートパソコンを開き
マウスをセットすると
雑記帳を手にし
何かを書き始めた
さほど気にならないのだが、
ママを追いかけて泣きすがる娘がいた
おかあさんおかあさんと
愛おしく抱きつく姿、
遊びに夢中だった娘を置いて
トイレに行ってたようで怖かったのだろう
優しそうな母親だ
子供は頭をなぜられると
どうしてこうも機嫌が良くなるのだろうか
もしもし・・・・
母親と入れ違いにトイレに入ってきた男は
とても慌てている様子だ、
壁越しに見えないが何か喚きながら用を足しているようだ
こんな静かなところに場違いな奴だ
俺はそんな風流の無い奴らとは関わりたく無いね
気を取り直すと、その男は再び目を細めながらその親子の様子を眺めていた
熟年の常連風のおじいさんは
先代からの名物、カツサンドを愛おしく見つめながら、
鯉がエサを食べるように下からばくんいった
サクサクの咀嚼音が食欲をそそる
とても旨そうだ
窓の外では
誰かの食べ残しをくるんだフィルムを
ペロペロと舐める犬
珍しい、野良犬か・・・・
男は時折りニヤニヤし
筆を走らせてはキーボードを叩き、
唸りながら腕を組み、髪をぽりぽりする
ちょっと休憩と腰を伸ばそうとすると
肘でコップを床に落として水をこぼしてしまった
どうも不注意ですみません。
無愛想な店員に詫びをし
慌ててそれを持ち上げようとして
テーブルの下に潜り込もうとすると
何かが閃いた
床に手を伸ばした指先で
それを上に掲げて眺めるとタロはハッと思いつく
アメ玉かwww
太陽光でキラキラしたそれを透かしながら
ウンウンと目を輝やかすのだ
男は改めて姿勢を取り直し
顔に張り手をしてパソコンに向かう
パソコンにはこう書いてある
肩で風を切る
その短足ガニ股歩きで
悦な気分のこの男には
十三の繁華街のネオンが似合う
もう令和の時代なのに
コンビニ袋をぶら下げ
両手ポケットを
美徳とするゴリラ、
その名は・・・
たそがれ
つづく
《今日の主な登場人物紹介》
たそがれ…この物語の主人公。シルバーウルフ永遠の補欠
ヨーコ…まだ自分にもわからない未知の能力を秘めていて今後のカギを握る
ヒサシ…たそがれの同級生。なんでも屋十三の街の情報収集が趣味、酒癖は悪いが仁義ある男。
アキオ…たそがれの同級生。女性の扱いがうまいイケメン、おしゃべりで明るい性格。
十蔵…たそがれの同級生。有名インフルエンサー配信者。
タロ …たそがれの同級生。インテリ眼鏡で冷静沈着に見えるが嘘。いつも低音で論理的に喋る。
フタミ・りんご…たまり場の女主人、ヒサシの妻と子
海童組…十三のヤクザ、勢力を拡大している。ヨーコの父殺しに関わる
鮫口…海童組の組長、たそがれを拉致監禁する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます