第18話 〜聖!性!勢!静!モーリガン〜

朝日が昇る頃、露草の葉に流れる澄んだ雫が、働き者の蟻達の進路を妨害する。


…そんな日常が繰り返される何時もの朝…

トムの棲家がある拠点では、最近ある《朝の風物詩》が繰り返されていたのだった。


朝日が昇る頃…

澄んだ空気を思いっきり吸った後、朝の散歩がてら時折寝ぼけて木の上で寝ている全裸のレンゲを見つけては苦笑しつつ、畑の近くにある果樹園を覗くと、決まって温室の中で誰かさんが寝ていた。

しかも…

何時の間にか隅っこに設置した簡易ベッドの上で…

そして…

最近ハマっている《芋焼酎》の空瓶を抱きしめて…

ただ…

出来るなら全裸で寝るのだけは止めて欲しいが…

トム曰く…

風邪を引かない様にと毛布を掛けに来る身にもなって欲しいらしい…

最初は目のやり場に困っていたトムも、今では百年の恋も冷めたかの様に、呆れて溜息一つ付いた後、手練れた手つきで素早く毛布を掛けてあげていた。


そして次にトムが向かうのは…

遅くまで鉄槌を振るっていたハナがいる鍛冶工房…

じゃ無くて…

完成品をしまっている倉庫の中…

やっぱり…

何時の間にか倉庫の片隅に置いてある簡易ベッド…

そこに…

鉄槌を抱きしめ作業着のまま寝てる誰かさん…

しかも…

こちらの方がより刺激的で…

なんと…

その横には全裸で寝る爆乳マサムネがいた…

でもまぁ〜こちらも温室で爆睡する誰かさん同様の対応をして終わりだが(笑)


その後やっと自分のパン工房に入ると、皆が食べる分のパンと、商業ギルトが開く前に納品するパン作りに取り掛かる。

それが最近の朝の風物詩と言うか、トムの日課になりつつあったのだった。


そんなある日…

街までパンを納品しに出掛けたトムの後ろ姿を見送りながら、スティノアはふとある疑問が頭の中に浮かでいた。


『ご主人様はあのお歳でもう枯れていらっしゃるのかしら?』

と…

スティノアが知る限り、彼の周りには裸族まがいの痴女が多数いる(汗)

ブラック・ウィドウを筆頭にハーピー・ブルーにトレント三姉妹ら多数の女性ナイト達然り、獣人のレンゲ、露出狂の痴女キャラにマサムネの影響か?羞恥心の意識が低いハナもそうだ。

だがそんな彼女達に呆れつつも理性を保っているのがトムなのである。

しかしかと言って、同性愛者でも無ければ両性具有系等の愛好者でも無いのは確かだ。

何故なら異性から必要以上のスキンシップをされたら時、人並みにある部分が反応しているから。

しかもサイズもそれなりある。


ちなみ何故スティノアがそんな事を知っているのかと言うと…

トムが入浴中、風呂から上ったばかりで全裸の彼と着替えを持って行った彼女が、脱衣所でばったり鉢合わせしたからであった。

それは本当に偶然だったのだが、スティノアは瞬時に、そしてしっかりと、しかも具体的に観察し網膜を通し脳裏に焼き付けた(笑)

その上で不思議がっているのである。

※結構こえ〜〜な〜(汗)


『かと言って街の娼館で遊んでらっしゃる様にも見えないし…』

それもトムの服を洗濯する際、その匂いを嗅いでトリップするスティノアならでの特殊な性癖からくる確信だった(汗)

『は!まさか…お一人で隠れて…はありませんわね』

この確信も匂いフェチな彼女だからこそである(笑)

その辺を踏まえて疑問が尽きないスティノアなのであった。

※それもこえ〜〜よ〜(汗)


一報その辺の事を疑問に思っている輩がもう一人…

「なぁ〜トム、ぶっちゃけスティノアさんとは所帯もたねぇ〜のかい?」

昼食時トムの向かい側に座り、一緒に食事をしている、この見た目オーガ風な中年のおっさん…

じゃ無くてハーフオーガ(笑)

彼の名はモリガン。

今トムが昼食を取っている食堂【宵闇しらず】の店主である。

※ただし、主な仕事は事務仕事兼用心棒♪


「え?!何ですかいきなり!」

そんな歯に衣をつけない様な質問に、思わず口の中の物を噴き出そうとしたトム。

確かに彼の中にデリカシーと言う繊細な心や、言葉を選ぶと言う様な高等技術が皆無なのは今始まった事ではなかった。

勿論料理の腕前も絶望が崖から飛び降りる位無い。


彼の奥さんも…

「ウチのが作るのは料理じゃ無くてエサって言うんだよ」

と断言している。

だから気に入らない客の時だけ厨房に立つらしいが、普段は厨房に立たず裏方の仕事をしているそうだ。

図にすると…

気に入らない客→ダンナが料理?したのを出す

→それを食べて客が怒る→ダンナが店の裏に連れて行く→次の日街にその客の姿が無くなる。

以上(笑)


「いやな〜ウチのカーちゃんと話してたんだよ、亜人って言ってもあれだけの美人や可愛い子ちゃん達に囲まれていててもよ〜まぁ〜お前さんのこっだから誰にも手〜出してないんだろ〜ってな」

「あ、当たり前じゃないですか!!」

あまりにも唐突過ぎる質問のせいか? 

ボキャブラリーが消滅してしまい上手く言葉を切り替えせないトム。


そんな彼のリアクションを見て…

「じゃ〜やっぱり本命はスティノアさんなんだろう?違うのか?」

尚も追求の手を休めないモリガン(笑)

「違いますよ!オレは今の所誰ともそんな関係になりたいなんて思ってませんから!」

「そ〜なんか?枯れてんな(笑)俺だったら…」

しかしここでモリガンは致命的なミスを犯した!

「ちょいと…《俺だったら》何だってんだいお前さん、よかったらそこん所を詳しく聞きたいもんだねぇ〜え!(怒)」

そう!周囲の警戒心を怠った事だ(笑)

何時の間にか彼の背後に仁王立ちの奥さん!

恐る恐る振り向き、その存在を確認した途端、全身から色素ご無くなるモリガン…


「ゲ!カーちゃん!!い、いつからそこに…いた…んでしょうか…」

最後ら辺の語尾はもう消え入りそうである(汗)

しかも何気に両膝が震え始めている。

「いつからも何もアンタのダミ声なんざ厨房まで丸聞こえなんだよ!」

これはも〜絶体絶命の危機である!


…モリガンだけが…(笑)


「トム…会合の時間だからまたな!」

彼は真顔になり正面のトムと向き合うと、彼の顔を見ながらそう言って逃げた…

ちゃっかり自分の分の食事だけ口の中に放り込んでから…

それも脱兎の如くだ(汗)


「まったく!悪かってねトム、後でシバキ倒しとくから許しとくれ」

そんなダンナの後ろ姿を見送り終わると、向き直しそう謝罪する奥さん。

「はははは……(汗)」

もう笑うしかリアクションの取れないトムだった。


その帰り道…

『枯れてるって言われてもな〜(困)』

自分でも何故年相応に性欲が湧かないのか解らないトム。

しかしだ…

その理由が彼の深層心理の奥底でトラウマとして沈んでる複雑な感情からだと気付くには、彼自身もう少し時間がかかるのであった。



…続く…



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