16話

夏休みの宿題のプリントがテーブルいっぱいに広がっている。

冷たいほうじ茶を片手に、夏休みの宿題を睨みつける。

どれだけ睨みつけても数学のワークは怯まない。いよいよ避けられなくなった宿題達が、抜き差しならない敵となって私の前に立ちはだかったのだ。

勝負は劣勢。

「うぅ......自由研究のテーマが全然決まらない......。数学はゴミ箱に.......」

平成くんが興味津々そうに夏休み一覧表を覗き込んだ。

「そんな時こそ、オレ達の力を借りるべきだよ!」

平成くんの案に確かに......と思っていたら、室町くんがふらりと飴玉を食べながらの登場。

「お土産、よろしくね」

「自分は行かない前提なんだな......」

平成くんが呆れたように言う。

「え、当たり前じゃん。また国一揆に巻き込まれるなんて嫌だね」

「室町って、一揆ばっかだよな〜。もっと派手なことしてないの?」

と、平成くんがからかい気味に言う。

すると突然、ギギギギギ!!と音を立てて、室町くんが平成くんのこめかみを両手で強く押さえつけた。

「ねぇ、そんなこと冗談でも言ったらいけないよ?何でそんなことも分からないの?バカなの?そんなことが分からない程、平成はバカじゃないよね?ねぇ、黙ってないで何とか言ったら?」

目が笑っていない笑顔で、精神攻撃を放つ室町くんの姿に、私は凍り付いてしまった。

平成くんは初めこそ、痛い!とか言っていたけど、今は涙目になりながら謝っている。

「ご、ごめん......なさい......」

「む、室町くん!?一旦落ち着こ?平成くん、泣いてるし......」

「......君も平成が無神経な発言をする時はちゃんと言っても良いんだよ」

彼の顔はゆっくりと振り向き、こっちを向く。

「ハイ」

震えながら頷くと、パッと手を離された平成くんが私に抱き着いてくる。

「うわー!怖かったぁぁぁ!!」

「室町くんって......強いね」

「あんな長い槍をぶん回す奴が非力な訳ないじゃん!!」

平成くんが涙目で訴えるが、それに冷静に答える室町くん。

一間いっけん半だよ」

少しため息をつきながら答えた。

彼の言う『一間半』とは、私の目分量だと約二メートル七十センチくらいの長さだ。

「何をしてるでありますか?」

希望の光!とでも言うように、安土桃山くんが階段を降りてきた。

「んー......平成に制裁?」

室町くんが気だるげそうに答える。

「制裁でありますか!?」

安土桃山くんは驚きの声を上げた。

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