架空のファンタジー多種族国家に新設された、救急治療隊の物語。
この作品の面白さはまず、「救急治療」のリアリティ。
「この種族なら、こんな怪我や診断ミスが起こるのでは?」
「この世界観なら、こんな事故があり得るのでは?」
――元救急救命士ならではの発想が随所に活きていて、どのエピソードも新鮮で興味を引かれます。
患者対応は基本一話完結で読みやすく、治癒魔法の限界や「救えなかった命」の重さといったテーマも丁寧に描かれています。
読み進めるほどに効いてくるのが、チームとしてのヒューマンドラマ。
過去を背負う元神官隊長、貴族出身の署長、元気な大太刀使いに、二刀流の新規隊員。
個性豊かなメンバーたちが関わり合うことで、それぞれの生き方が少しずつ見えてきます。
救急治療のリアリティで引き込まれ、キャラクターの関係性でじっくり楽しめる構成。 新設組織物お約束の、既得権益との争いもありそう。
幕間のミニ知識は、教科書の余白ページみたいで知識欲も満たしてくれます。
「人を救いたいと願い、救い続ける人を——救ってあげられるのは、誰なのか」
そんなエモさを予感させる、温かさと重みを持った物語です。
(Case7までの読了で記載)