身近に在るものたちへの感謝を、静かに綴った一篇。
それらはあまりにも当たり前にそこにある。
昨日も、一昨日も、その前も変わらず在り、きっと明日もそこに在ってくれる──そう信じて疑わない事、物、そして人。
けれど本当はすべてが移ろいゆくもの。
何ひとつ、永遠に約束された存在ではない。
だからこそ今この瞬間がどれほど得難いものであるかを、本作は思い出させてくれた。
質素でありながら確かに満ち足りた幸福。
読み終えたあとに胸が暖かくなる。
ささやかな日常がかけがえのない宝物に思えてくる。
そしてその満ち足りた気持ちの中で、これからの自分の歩みもきっと良い方へ向かっていくのだと、そう自然に信じられる。
すてきな掌編です。
どうぞ、ぜひ一読を。