価値のないものは置いていけ──
そんな世界の常識に
〝だって、まだ拾えるもの残ってるし〟
と、無垢な手が抗ってゆく
草も石も
壊れた剣も
見過ごされるはずだった何もかもが
拾われた瞬間に小さな光を宿す──
その徹底した収集癖は
痛快な能力である以上に
世界から零れ落ちた価値を
掬い上げる優しさなのだ
ひとつ拾うたびに強くなり
一歩進むたびに
仲間との距離が近づいてゆく
その歩みは遅くても
旅の歓びは誰より濃い
軽妙な掛け合いと素直な驚き
時折差す命の翳りが
明るい冒険に
確かな奥行きを与えている
道端の小石さえ
宝物に変わるような──
読後には
自分の足元まで
少し愛おしく見えてくる